母の日、花を送った。
土日は家にあの人がいるかもしれないから、1日遅れの月曜に届くように。
小さな鉢植えのカーネーション。
何度も、やっぱり辞めます、と言いそうになって、花屋のお姉さんの笑顔に言い切れず、住所を最後まで書いた。
少し手が震えた。
送り主の欄は、同上とした。
自分の名前は書けなかった。
でも、母が気づいてくれたら嬉しいと思う。
「じゃあ大切にお届けします」
「お願いします」
少し唇を噛んで、頷いた。
そして、花でも贈ったらと言ってくれたその人を振り返る。
「お待たせ。ありがと、ついてきてくれて」
少し照れてしまったけれど、優しく笑ってくれた。
こういう時、抱きしめたくなる。
抱きしめて欲しくなる。
でも、男同士でそれは出来ない、手さえも繋げないから。
「早く帰ろう」
今すぐにでも欲しいから。
気持ちは伝わったらしい、いつものちょっと、やらしい目になった。
「今日は色んなことリクエストしようかなぁ~」
「っばか」
本当に。
ああ、早く帰ろう俺たちの部屋に。
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