「何これ?」
由岐人はテーブルの上にあったビラを取り上げた。
そこにあるのは”エンジェル・アイズ”という文字と2人の顔。
「ああ、友達がこないだの連休にその舞台見に行ったらしくて、ビラ渡された」
「劇団M.O.P?」
「そ。なんか歌もあってダンスもあって、西部劇なんだけ切ない部分もあって、凄い良かったらしい」
「へぇ」
「席も良かったって言ってたけど。中でも一人のガンマンがカッコよかったらしい。ムーディー勝山っぽかったとか言ってたけど。その人の役がまた切なかったんだって。親友に利用され、それを良しと甘んじて受け入れていて、死を近くにして恋に落ちるけどはかなく散ってしまう。切なかったらしい」
「剛、舞台とかに興味あんの?」
「どーかなぁ。見た事無いけど、面白いんだったら見てもいいかも」
言うと、ソファから由岐人の傍にやってきて、テーブルの椅子に腰を落とした。
「誘われたりしたんだろ?今度見に行こうとかなんとか」
由岐人は言うとビラをテーブルに戻してその場を動こうとする。その腕を剛が掴んだ。
「誘われたりしてねーって」
どうだか、そう言いたげな視線に剛は苦笑を漏らした。
「ノロケられただけ」
「?」
「彼女とのデートで行ってきて、彼女のセリフをそのまま聞かされたの。ま、舞台に興味あんのは事実だけど」
そう言って笑った剛の顔が生意気だったのだろうか、由岐人はふんっと腕を振りほどいて部屋を出て行ってしまった。
ぷりぷりしたその後姿を剛が追いかけたのは、言うまでもない。
・・・・・・・・・・・・・・・
この連休に時間を見つけて見に行ってきました。
「エンジェル・アイズ」劇団M.O.P
楽しかったです。ダンスも上手で、歌も上手いし。
ストーリーにテンポも良くて、
主役達は、たぶん荒くれ者で悪い事ばっかりしててどうしようもないんでしょうけど、
(西部劇で言うなら悪役側??)
でも男なんです。男気に生きてて格好良くて、中でも一人のガンマンが格好良かったです。
役柄も良かったけど、
ここを生きて出られたら、
包囲された町から脱出する時言ったけれど、・・・・・・
この舞台はもう終わってしまいましたが、興味のある人はHPもあるので。
チケット代もそんなに高く無いですし(5000円くらい)機会があれば是非★
お勧めの劇団です。