「美容院を変えた?」
「はい。気分転換に変えてみました」
どうですか、とでも言いたそうに高崎は髪を揺らす。
「どこにしたんだよ?」
「たまたま雑誌を買ってみたら、巻末に美容院特集をしてまして。見てたら、近くのお店が載っていたので行ってみたんです」
「どの雑誌だ?」
小城は高崎の髪型にはコメントせず、その雑誌をリビングのブックスタンドから探し出す。
「ああ、それです」
開いたページに高崎が言うと、小城は食い入るように見ていた。
高崎は、今更”この髪型どうですか?”と聞くのも拍子抜けしているような恥ずかしいような気持ちで、結局ため息をついて問いを諦めた。
少しだけ、パーマをあてた髪型を自分は気に入っているのだが。
小城が、高崎の髪を触り切った男が誰なのか、どんなヤツなのか気になってその日早速美容院を見に行った事は高崎は知らない。
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